安城市民ギャラリー のお知らせ

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【市民ギャラリー 収蔵品紹介】

エントランスの展示替えをしました!

 今回は、神谷葵水(きすい)さんの書作品《歳不我与》を展示しました。
葵水さんは、1916(大正5)年、安城市福釜町に生まれ、1936(昭和11)年に岡崎師範学校を卒業しました。1944(昭和19)年に文部省習字科検定試験に合格し、1950(昭和25)年、34歳の時には日展に初入選しました。
作家活動だけでなく書道教育にも力を入れ、岡崎師範学校(現・愛知教育大学)や全国の大学で指導し、書道の歴史や書道教育の現代化について研究しました。その功績が認められ、岡崎市教育功績賞を受賞するほか、3度も紺綬褒章を受章するなど、三河地域を超えて活躍しました。
 さて、本作品のタイトル「歳不我与」は、『論語』に出てくる言葉です。

日月逝矣 歳不我与(日月逝けり 歳我と与(とも)にせず)

中国春秋時代の魯で実権を握った政治家・陽貨は、孔子を召し抱えようと説得し、最後に「月日は流れ、歳月は私を待ってくれない。私に仕えるなら今ですよ。」と伝えます。最初はその気がなかった孔子も、陽貨の強い要請に負け、「いずれ仕官しましょう。」と承諾します。結局この約束は実現しなかったそうですが、陽貨の駆け引きの上手さを窺い知ることができます。
この作品を書いた時、葵水さんは84歳。この言葉から何を感じ、どのような想いを込めたのでしょうか?毎日「暑い暑い」と言って過ごした夏も、いつの間にか終わろうとしています。時間を大切にして、何事も時期を逃すことのないようにしたいものですね。

 

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神谷葵水≪歳不我与≫